定年後再雇用された名古屋自動車学校の元社員の男性2人が、同じ仕事なのに賃金を不当に減額されたとして、同校に定年時の賃金との差額を支払うよう求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は28日、「定年時の額の60%を下回る部分は違法」とし、退職した65歳までに下回った計約625万円の賠償を命じた。
井上泰人裁判長は判決理由で「業務内容や責任の程度に違いがないのに、賃金総額が定年時の60%前後となり、若年の正職員の額も下回った。労働者の生活保障の観点からも看過しがたい水準だ」と指摘した。
その上で「基本給を定年時の60%とし、これを下回る基本給や賞与などの減額分は、無期雇用者と有期雇用者との差別を禁じた旧労働契約法20条に反する」と結論付けた。
判決によると、2人は教習指導員として2013~14年に60歳を迎え定年後、主任の役職が外れたほかは職務内容が同じまま有期雇用の嘱託職員として勤務した。
原告の青山治彦さん(67)は判決後に記者会見し、「基本給について認められた点は意義があるが、(減額が)6割を下回らなければ良いとする内容には不服だ」と話した。学校は「責任者が不在でコメントできない」としている。
定年後再雇用の格差の判断を巡っては、最高裁が18年、運送会社の運転手が起こした訴訟の判決で、給与や手当といった個別項目ごとの趣旨を考慮すべきだとの枠組みを示している。
(共同通信社)