厚生労働省は28日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会を開き、育児休業を取得する際に社会保険料が免除される要件を見直す考えを示した。月末1日の取得で1カ月分の支払いを免除される「抜け穴」があり、部会の出席者から「公平性の観点から見直しが必要だ」との意見が相次いだ。
厚労省は年末までに見直しの詳細を決める方針。月末に縛られない柔軟な取得が促され、男性の育休取得が進む効果も期待する。
育休を取得すると、健康保険法に基づき、健康保険や厚生年金などの社会保険料が免除される。企業と本人負担分の双方が対象のため、企業側の負担軽減にもつながる。2018年度の免除は、大企業中心の健保組合と中小の全国健康保険協会(協会けんぽ)の合計で約1千億円だった。
育休中は休業前賃金の67%の給付金が払われる。さらに社会保険料を免除し、手取りが実質的に休業前の8割となるよう制度が作られている。
現行は、例えば10月初旬に2週間の育休を取得しても社会保険料免除にならないが、10月31日だけ取得した場合、10月1カ月分が免除される。厚労省によると、月単位で保険料を集め、月末時点の被保険者の状況を見て判断するため、こうした運用になるという。
厚労省は労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で男性の育休取得促進策を議論している。男性の取得は1カ月未満が81%に上る。月末を含まなくても手取り増につながる社会保険料が免除される方向となれば、短期の取得が多い男性でも、育休に前向きな人が増える可能性がある。
(共同通信社)