熱中症死亡、県職員側敗訴 名古屋地裁「予見できず」

 

 愛知県農業総合試験場(同県長久手市)の男性職員=当時(49)=が熱中症で死亡したのは、県が職場の安全に配慮する義務を怠ったためとして、男性の母親が県に約7500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は26日、「熱中症の発症は予見できなかった」として請求を棄却した。

 判決によると、男性は試験場でキクの研究などに従事。2015年8月、キクの水やりを終えて帰宅した後に虚血性心疾患の疑いで死亡した。地方公務員災害補償基金愛知県支部は17年5月、公務災害と認定した。

 井上泰人裁判長は判決理由で「死亡当日は気温が29~32度の環境下で、肉体的負荷が少なくない業務に従事しており、作業と死亡との因果関係は認められる」と指摘。一方で「試験場では熱中症予防に関し、具体的に労働衛生教育をしていた」などとして、県の安全配慮義務違反はなかったと結論付けた。

 愛知県の大村秀章知事は「裁判所の判決で、そのように受け止めている」とのコメントを出した。

(共同通信社)