ベア要求も目標値示せず 連合会長「数字これから」 21年春闘の基本構想

 

 連合が15日、2021年春闘の基本構想を発表した。従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)の目標値は盛り込まなかった。新型コロナウイルスの影響で経済の見通しが立たない中、連合内でもベアを示すことに慎重論があり、議論がまとまらなかった。神津里季生会長は記者会見で「ベアを求めながら、これから数字を決めていく。賃上げの流れを継続していきたい」と強調した。

 春闘方針のたたき台となる基本構想は15日の中央執行委員会で承認された。今後、11月の中央討論集会を経て、12月1日の中央委員会で春闘方針を正式決定する。

 基本構想は雇用の確保が大前提と指摘。企業規模や雇用形態による格差を是正するため、企業内の最低賃金は時給1100円以上を必須目標とし、勤続17年(35歳相当)で時給1700円、月給28万500円を目指す昇給制度を要求するとの20年春闘で掲げた方針は引き続き堅持していく予定。

 新型コロナ感染防止につながるテレワークに関しては、長時間労働の防止策や費用負担のルールを労使で協議することを求めた。非正規雇用で働く人たちの退職給付制度の整備も盛り込んだ。

 神津会長は「新型コロナの問題が経済や雇用に重くのしかかり、影響を受けている職場もある。全体の底上げに取り組まなくてはならない」と訴えている。

 20年春闘ではベアを5年連続の2%程度とし、定期昇給分を合わせた賃上げ率で4%程度の要求を掲げた。交渉が本格化した4月以降、新型コロナによる経済状況の悪化の影響を受け難航。連合の集計によると、ベアと定昇を合わせた賃上げ率は1・90%で、14年春闘以降で最低水準だった。

(共同通信社)