菅義偉首相は15日、政権発足後初めてとなる全世代型社会保障検討会議で「(妻が)出産直後の時期に、男性が育児休業を取得しやすくする制度の導入を図る」と表明した。不妊治療の保険適用拡大は、年末に工程を明らかにするとした。
この日は、少子化対策がテーマ。年末にまとめる最終報告に向け、政府、与党内の議論を加速させる。痛みを求める75歳以上の医療費の窓口負担引き上げが焦点になっており、子育て支援策を充実させ若い世代へのアピールとする狙いだ。
男性の育休取得率は上昇傾向にあるものの昨年度で7%余り。女性の83%に比べると低調だ。
会議では、男性の育休取得促進策として、夫が妻の出産直後に休みやすくする「男性版産休制度」の創設も協議。厚生労働省で、産後うつや体調不良で妻の負担が大きくなる出産直後に、夫が育休を取りやすくなる具体的な制度づくりに着手している。現在は努力義務にとどまっている従業員への育休制度の説明を企業に義務付けることも検討している。来年の通常国会に育児・介護休業法などの改正案を提出する構えだ。
不妊治療の保険適用拡大までの間は、現行の助成制度を大幅に拡充する。不妊治療は現在、公的医療保険の適用となるのは一部に限られる。厚労省は2021年度から体外受精と顕微授精を対象とした助成制度を拡充し、22年度の診療報酬改定に合わせて保険適用の対象となる治療を拡大する考えだ。この日の議論では、出席した有識者から22年度よりも前倒しして実施するよう求める意見も出た。
そのほか、菅首相が「終止符を打つ」としている待機児童問題の解消に向け、年末に新たに必要となる保育サービスの整備計画を定めるとした。
(共同通信社)