2020年10月14日  共同通信社

看護師自殺、労災認める 札幌、吃音指導は影響否定

 

 2013年に札幌市の病院で勤務していた男性看護師=当時(34)=が自殺したのは業務で吃音を治すよう指導され、試用期間を延長されたことなどが原因だとして、遺族が遺族補償不支給などとした札幌東労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、札幌地裁は14日、労災と認め、処分を取り消した。

 武部知子裁判長は判決理由で、男性は試用期間の延長など心理的負荷がかかる出来事が重なり精神障害を発症したと認めた一方、病院側の指導は吃音の改善の強制や人格否定を伴うものとは言えず、通常の範囲内とした。

 判決によると、男性は13年4月、同病院で3カ月の試用期間付きで勤務を始めたが、同年6月に病院側から試用期間の1カ月延長を告げられた。男性は適応障害を発症し、同年7月に自殺した。

 遺族側は15年、補償給付などを請求したが、労基署は男性の精神障害の発症は、業務による心理的負荷が主な原因とは認められないとして、不支給処分とした。

(共同通信社)