非正規雇用の労働者と正社員の待遇格差を巡り、ボーナス(賞与)や退職金を支払わないことの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は13日、一部の支払いを命じた二審判決をいずれも見直し、「不合理な格差とまでは言えない」として賞与と退職金に相当する部分の請求を棄却した。
最高裁は「賞与、退職金の差が不合理と認められる場合はあり得る」とした上で「性質や支給目的を踏まえて検討すべきだ」との判断を示した。
旧労働契約法20条の定める「有期雇用による不合理な格差」に該当するかどうかが争点だった。非正規労働者は2千万人に上り、政府が進める「同一労働同一賃金」の議論にも影響を与えそうだ。
賞与について判断した大阪医科大(大阪府高槻市)の元アルバイト職員の訴訟では、賞与は労務対価の後払いや、功労報償の趣旨があり「正職員としての職務を遂行できる人材を確保し、定着を図る目的で支給している」とした。アルバイトは業務が相当軽易で配置転換もなく、職務内容の違いを考慮すれば、賞与を支給しないことは「不合理な格差」に当たらないとした。宮崎裕子裁判長ら裁判官5人一致の結論。
退職金が争点となった東京メトロ子会社「メトロコマース」の元契約社員の訴訟では「職務の内容には一定の違いがあり、正社員には配置転換の可能性もあった」と認定。不合理な格差とは評価できないとした。林景一裁判長ら4人の多数意見。行政法学者出身の宇賀克也裁判官は、退職金を支払うべきケースだとする反対意見を述べた。
(共同通信社)