公開日 2020.9.25 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
電子署名(でんししょめい)
電磁的記録に記録された情報について作成者を示す目的で行われる暗号化等の措置で、その情報に改変が行われていないかどうか確認することができるものをいう。インターネットによる電子申請や電子商取引が広がる中で、情報の受信者と発信者がそれぞれ本当に本人なのか、情報が改変されていないかを、相手方と対面することなく確認することの必要性が高まり、そのための有効な手段として、電子署名が利用されるようになった。
電子署名は、具体的には、次の場面で利用されている。
●官公庁や自治体などに電子申請・届出を行うとき
●取引先や顧客との契約締結手続きを電子データを使って行うとき、または発注書や請求書などを電子データで発行、送付するとき
●稟議書の作成・回議、取締役会議事録の作成・承認などを電子化して行うとき、その他、電子化により作成した社内文書の署名および保存を行うとき
電子署名を利用して、業務のペーパーレス化を進めることのメリットとして、次の点が挙げられる。
(1)業務プロセスの効率化・スピードアップ
申請書や契約書を相手に届ける時間、文書を回覧する時間などを削減できる。文書を電子化して保管できるため、必要な文書を簡単に検索できる。
(2)コスト削減
文書の印刷にかかるコストや配送、保管にかかるコストなどを削減できる。
なお、電子データによる契約締結には印紙の貼り付けが不要なため、印紙税を削減することもできる。
(3)セキュリティ向上
文書の改ざんなどを防止することができる。
電子署名を行うには、一般的には、認証局が発行する「電子証明書」が必要となる(電子署名は「印鑑」に、電子証明書は「印鑑証明書」に相当する)。電子証明書には、パソコンにインポートして利用する「ファイル形式」と、ICカードに格納した上で電子署名を利用する際にカードを読み込んで利用する「ICカード形式」の2種類があるが、安全性の面ではICカード形式のほうが優れている。
日本企業においては、業務のペーパーレス化やテレワークの導入が進む中で、今後、電子署名の利用が急速に広がるものと考えられている。