専門職、管理職で5割超 過労自殺、受診なしも6割 20年版白書、概要判明

 

 過労死・過労自殺の現状や国が進める防止対策をまとめた2020年版「過労死等防止対策白書」の概要が24日、判明した。15、16年度に仕事が原因の精神障害で自殺、労災認定された人の職種を分析した結果を掲載。専門・技術職と管理職で全体の5割超を占めた。また、自殺する前に医療機関を受診していなかった人も6割に上った。白書は10月に閣議決定される見通し。

 白書の概要によると、15、16年度に過労自殺で労災認定された167人を調査したところ、研究者やエンジニアなどの「専門的・技術的職業従事者」が67人、企業の課長などの「管理的職業従事者」が25人だった。その他は事務従事者が24人、販売従事者が18人などだった。

 167人のうち60・5%の101人は、自殺する前に医療機関の受診歴がなかった。

 また、10~17年度、業務に起因する脳・心臓疾患になったケース計2280件を分析した結果、発症前6カ月の負荷要因として労働時間以外で「拘束時間の長い勤務」「交代勤務・深夜勤務」などが多かったことも分かった。過労死や過労自殺による労災認定件数は10~19年度、ほぼ横ばいだった。

 国は対策方針をまとめた過労死防止対策大綱で、1週間の労働時間が60時間以上となる従業員の割合を「20年までに5%以下」とする目標を掲げている。近年は減少傾向にあるが、19年はまだ6・4%だった。

 厚生労働省が民間企業に委託、実施したアンケートでは、労働者の多くが過重労働防止に向け「人員を増やす」などの対策を求めたが、企業側から「人員不足のため対策を取ることが難しい」といった意見が出た。

(共同通信社)