2020年09月16日  共同通信社

石綿被害で市に賠償命令 北九州、体育館勤務し死亡

 

 北九州市立総合体育館(八幡東区)の管理に従事し、肺がんを患って2013年に死亡した男性=当時(78)=の遺族が、体育館のアスベスト(石綿)対策を怠ったのが原因だとし、市と、雇用した管理会社に損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁(徳地淳裁判長)は16日、体育館の安全性が不十分だったとして市と会社の責任を認め、計2580万円の支払いを命じた。

 判決後に記者会見した原告弁護団は「石綿が使われた建物を保有・管理する自治体の責任が認められた判決は例がない。被害者の救済に非常に意義がある」と述べた。

 判決によると、北九州市の二見修夫さんは、設備管理を請け負う太平ビルサービス(東京)の社員として、1990~2005年に体育館で勤務。肺がんを患って肺の一部を切除し、13年9月に肺炎による疾患で死亡した。体育館の建材には石綿が使われており、除去工事は06年だった。

 判決は、体育館の石綿が肺がんを引き起こし死亡につながったと判断。「勤務を始めた90年の時点で、石綿の危険や除去の必要性は広く認識されていた」とし、市の責任を認めた。太平ビルも対策を怠ったと指摘した。

 北九州市は「判決を精査し、対応を検討する」とした。太平ビルサービスは「判決の詳細を把握していないためコメントできない」としている。

(共同通信社)