待遇格差、10月最高裁判決 日本郵便の契約社員


 日本郵便の契約社員ら計11人が、正社員と同じ仕事をしているのに手当などの待遇に格差があるのは違法だとして損害賠償や是正を求めた2件の訴訟で、最高裁第1小法廷は10日、双方の意見を聴く上告審弁論を開いた。山口厚裁判長は、いずれも10月15日に判決を言い渡すと述べた。
 2件は東京、大阪の両地裁に起こされ、2018~19年の二審判決はいずれも一部の請求を認めたが、判断に食い違いも生じた。年末年始勤務手当や夏期・冬期休暇といった待遇の違いが、労働契約法20条で禁じられている「不合理な格差」に当たるかどうかが争点。
 最高裁は18年に別の待遇格差を巡る訴訟の判決で個別の項目ごとに精査すべきだとの判断枠組みを示しており、第1小法廷はこれに沿って統一判断を示す見通し。
 大阪訴訟の原告側は弁論で「年末年始に働かなければならない労苦は正社員も契約社員も同様だ」と主張。東京訴訟の原告側も「従業員の半数近くを占める契約社員がいなければ郵便事業は成り立たず、格差を放置してはならない」と訴えた。
 日本郵便側は「正社員は幅広い役割や重い職責を担う。同じ業務を担っているようでも役割は同じではない」と述べた。
 東京都内の郵便局で働く原告の浅川喜義さん(49)は閉廷後に記者会見し「新型コロナウイルス感染症の拡大で配達が増えた。正社員には有給で90日ある病気休暇が、私たちには無給で10日しかない」と話した。
 11人は東京、千葉、愛知、大阪、兵庫、広島の各都府県の郵便局で集配業務などに従事。うち1人は既に退職した。これとは別に、日本郵便の元契約社員が佐賀地裁に起こした訴訟の上告審弁論も9月24日に開かれる。
(共同通信社)