違法残業、調査対象の47% 法令順守に問題、厚労省

 

 厚生労働省は8日、長時間労働が疑われる全国約3万3千事業所を2019年度に調べたところ、約47%に当たる1万5593事業所で、労使協定を超えるなどの違法残業があったとの監督指導結果を公表した。厚労省は16年度分から結果を公表しており、対象事業所に占める割合は最高だった。

 残業の上限規制を柱とする働き方改革関連法が19年度から施行されたが、企業側の法令順守に問題が残る実態が浮き彫りになった。

 一方、違法な残業のあった事業所のうち、過労死ラインとされる月80時間超の残業をした労働者が確認されたのは約37%の5785事業所で、16年度分以降で最少。厚労省の担当者は「法施行に伴い、各企業で長時間労働を減らそうという意識が高まっているのではないか」としている。

 監督指導結果によると、違法残業のあった事業所を業種別にみると、製造業が3626カ所と最多で、商業、接客娯楽業が続いた。また、残業代の未払いも2559カ所で見つかった。

 立ち入り調査した製造業の中小企業では、19人の労働者が月100時間超の残業をしていた。固定残業代を採用していたが、残業代の支払いに不足があった。

 残業の上限規制は19年度から大企業に適用され、20年度からは中小企業も対象になる。時間外労働を原則として月45時間、年360時間とした上で、繁忙期など特別な事情がある場合でも時間外、休日労働で月100時間未満、複数月の平均で80時間以内に制限されている。

(共同通信社)