新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化で厳しい雇用情勢が続く中、政府は失業を防止するため、休業中の人と人手不足に悩む企業を結びつける「雇用シェアリング」への支援を強化した。雇用維持のための助成金の利用条件を緩和。コロナ禍で同じ業種内の求人が少なくなっており、異業種間のマッチングが期待されている。
雇用シェアは「従業員シェアリング」などとも呼ばれ、「在籍型出向」として以前から雇用維持策の一つとなってきた。雇用継続が難しくなった企業から、人手不足の企業に一時的に移る仕組み。元々働いていた企業との雇用関係は維持し出向先とも契約する。
企業間の調整を担う公益財団法人「産業雇用安定センター」によると、コロナ関連で手掛けた事例は8月28日現在で161人。
観光や飲食、宿泊などでニーズが高く、外国人観光客が来なくなって仕事が激減した観光バス運転手がマスクや消毒液などの衛生用品や食料品を運ぶトラック運転手として働いた例がある。営業自粛を求められたレストランの調理師がスーパーの食材調理担当になったケースもあった。
政府は雇用調整助成金の要件を緩和しており、出向期間が3カ月以上必要だったが、短期間でも対象になるよう特例で1カ月以上に短縮した。
取り組みを支援する厚生労働省は「マッチングは無料で実施しており、活用してほしい」と呼び掛けている。
(共同通信社)