厚生労働省は1日、新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇い止めが、8月31日時点で見込みも含めて5万326人になったと明らかにした。7月末から約9千人が職を失い、失業者の増加に歯止めがかかっていない。政府は雇用助成の日額引き上げなど特例期限を12月末まで延長して対応するが、感染収束の兆しは見えず、非正規労働者を中心に厳しい雇用状況が続く。
厚労省は2月から新型コロナによる解雇と雇い止めを集計しており、累計では5月21日に1万人、6月4日に2万人を超えた。6月以降は増加ペースが徐々に落ちているが、都道府県労働局やハローワークに相談があった事業所の報告に基づいており、実際にはもっと多いとみられる。
四半期契約で働く派遣労働者の多くは9月末に契約更新時期を迎える。通常は1カ月前に契約を継続しないとの通知を受けるため、8月末時点の集計には、立場の弱い非正規労働者が多く含まれている可能性がある。
厚労省によると、解雇や雇い止めは、製造、宿泊、飲食、小売りの4業種で全体の半数以上を占める。政府の緊急事態宣言に伴い、当初は外出自粛や休業要請で打撃を受けた宿泊業や飲食業が中心だったが、最近では製造業や小売業も目立つ。
政府は、従業員に休業手当を支払った企業に支給する雇用調整助成金の日額上限引き上げや助成率拡充といった特例措置を12月まで延長。人材派遣業界や経済団体に雇用の維持を要請している。
一方、厚労省が1日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0・03ポイント落ち込み、1・08倍だった。7カ月連続の悪化で、2014年4月以来、6年3カ月ぶりの水準。総務省が同日発表した7月の完全失業率(季節調整値)は前月比0・1ポイント上昇の2・9%となり、2カ月ぶりに悪化した。
(共同通信社)