厚生労働省は27日、労働者が副業、兼業をする際の注意点をまとめたガイドラインを改定する方針を決めた。長時間労働の抑制や健康確保のため、労働時間は本業分と副業分を通算して管理するが、副業分の労働時間は労働者による自己申告とするとした。9月1日から改定される見通し。
27日に開かれた厚労省の労働政策審議会分科会でガイドラインの改定案が了承された。審議会では労働側の委員から「労働者が副業先を探す際、労働時間の制約について正直に申告できるか」などと懸念が示された。
労働基準法は「事業場が異なる場合も労働時間を通算する」と定める。ガイドラインの改定案では通算の残業時間を、「月100時間未満」などと労基法が定める上限に収まるよう企業側に時間管理を求めた。
既に就労している労働者が、さらに別の企業などと雇用契約を結んだ場合を「副業」とし、本業での労働時間が所定内に収まっても通算で法定労働時間を超えた場合は副業分が時間外労働に当たると整理した。
また、通算時間が残業の法定上限に達しないように、企業と労働者が協議し、本業、副業それぞれの企業が事前に労働時間の上限を定めておけば、他の企業における就労状況を考慮しなくていいとの仕組みも提示した。
一方、フリーランスや自営業など労基法の対象とならない働き手や、企業で労働時間規制が適用されない管理職などは通算による時間管理の対象外としたが、偽装請負など実態として雇用契約と認められる場合は、使用者が責任を問われることがあるとした。
国は働き方改革の一環として副業や兼業の普及を推進、制度などの整備を進めている。9月からは副業している人の労災保険を巡り、給付の算定基準を全ての勤務先の賃金総額とする改正労災保険法が施行される。現行のガイドラインは2018年に策定された。
(共同通信社)