テレワーク実態調査へ 厚労省が数万社、指針改定 検討会で推進策議論

 パソコンやタブレット端末を使って職場外で働くテレワークの実態を把握しようと、厚生労働省は近く、数万社とその従業員を対象に大規模調査に乗り出す。本年度にテレワーク時の労務管理ガイドライン(指針)を改定するのに合わせ、現状の働き方や課題を把握するのが狙い。
 政府は新型コロナウイルス対策としてテレワーク活用を促している。17日に有識者検討会を設置し、推進策や労働時間の管理方法について議論を進める。
 厚労省によると、調査対象は中小企業を中心に、全国の2万社前後で調整している。企業にはテレワークの実態や問題点、要望などを幅広く探るための調査票を配布。従業員にも、テレワーク導入前との労働時間の変化や働き方の改善点をインターネットで回答してもらい、労使間の認識差を調べたい考えだ。
 テレワークは通勤時間の削減や仕事と育児の両立といった利点がある一方、私生活と仕事の区分が曖昧になり、長時間労働を引き起こすとの指摘がある。そのため、現在の国の指針は例示として「時間外・休日・深夜労働の原則禁止」を盛り込んでいる。この指針は労使で合意すれば変更できるが、「働き方を縛る」と誤解する中小企業も多いという。
 東京商工リサーチが7月に公表した調査結果では、在宅勤務などを一度も導入したことがない企業は資本金1億円以上で15・1%だったのに対し、1億円未満では47・6%に上った。指針が導入を妨げる一因になっているとの指摘が政府内で上がっており、検討会では新たな指針内容についても議論を進める。
(共同通信社)