うつ病と業務の関係認めず トヨタ社員自殺巡り判決

 
 トヨタ自動車の男性社員=当時(40)=の自殺を巡り、労災認定するよう求めた男性の妻の請求を棄却した29日の名古屋地裁判決は、男性が発症したうつ病について「業務との因果関係は認められない」と指摘した。原告側は控訴する方針。
 井上泰人裁判長は判決理由で、業務内容が変わり目標を実現できない中、上司からの☆(口ヘンに七)責が続き相談しにくい状況だったとしたものの、「仕事量が著しく増えたり、常時緊張を強いられたりする状態ではなかった」と判断。
 上司の言動にも人格否定や執拗さはなかったとした上で、「心理的負荷が精神障害を発病させる程度の強度とは言えない」と結論付けた。
 妻は判決後に記者会見し「夫を思いながら、きっと勝てるという気持ちで今日を迎えた。悔しさでいっぱいです」と話した。
 豊田労基署を管轄する愛知労働局は「国の主張が認められた。今後とも適正な保険給付に努める」とコメントした。トヨタは「ご遺族には改めてお悔やみ申し上げる。判決に対しては、弊社は裁判の当事者でないため、コメントは差し控える」とした。
 判決によると、1990年にトヨタに入社した男性は09年10月ごろうつ病となり、10年1月に豊田市内の雑木林で首つり自殺した。豊田労基署は12年、「業務上の疾病に該当しない」として労災補償の不支給を決めた。
(共同通信社)