パートタイム・有期雇用労働法

公開日 2020.7.22 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

パートタイム・有期雇用労働法(ぱーとたいむ・ゆうきこようろうどうほう)

 同一企業内における正社員(無期雇用フルタイム労働者)と有期雇用労働者との不合理な待遇差等を禁止する法規制を設けるため、従来の「パートタイム労働法」の対象に有期雇用労働者を含める形で改正された法律。正式名は、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」で、2020年4月1日(中小企業は2021年4月1日)から施行された。
 この法律のポイントは、次のとおり。

(1)不合理な待遇差の禁止
同一企業内において正社員と非正規社員との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止された。なお、「どのような待遇差が不合理に当たるか」については、「同一労働同一賃金ガイドライン」(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)において例示されている。

(2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
非正規社員は「正社員との待遇差の内容や理由」などについて事業主に説明を求めることができるようになった。事業主は、非正規社員から求めがあった場合は、これらについて説明をしなければならない。

(3)行政による事業主への助言・指導などや裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
有期雇用労働者についても、行政による助言・指導などを行う根拠となる規定が整備され、また、正社員と非正規社員との間の「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明などについても、行政ADRの対象とされることになった。

 なお、この法律の施行に合わせて労働者派遣法も改正され、派遣労働者についても、上記(1)~(3)の整備が行われている。