障害者雇用に関する優良な中小事業主の認定制度

公開日 2020.7.22 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

障害者雇用に関する優良な中小事業主の認定制度(しょうがいしゃこようにかんするゆうりょうなちゅうしょうじぎょうぬしのにんていせいど)

 障害者の雇用の促進および雇用の安定に関する取り組みの実施状況などが優良な中小事業主を厚生労働大臣が認定する制度で、認定マークの愛称から「もにす(『共に進む』という言葉から名付けられた)制度」とも呼ばれる。「障害者の雇用の促進等に関する法律」77条に基づき、雇用する労働者が300人以下の中小事業主について、一定の基準(下記参照)を満たす場合は、申請により認定を受けることができる。
 この認定制度は、障害者雇用の取り組みに対するインセンティブを事業主に付与することに加え、既に認定を受けた事業主の取り組み状況を障害者雇用のロールモデルとして公表することにより、中小事業主全体で障害者雇用に対する取り組みが進展するものと期待されている。

 認定の対象は、常時雇用する労働者が300人以下の事業主であるが、労働者数が45.5人未満であるために法定雇用障害者数が0人の事業主、株式会社以外の法人(社会福祉法人等)や個人事業主であっても申請を行うことができる。
 認定を受けるには、次の基準をすべて満たすことが必要である。

(1)障害者雇用への取り組み(アウトプット)、取り組みの成果(アウトカム)、それらの情報開示(ディスクロージャー)の3項目について、項目ごとの合格最低点に達しつつ、合計で50点中20点(特例子会社は35点)以上を獲得すること

(2)法定雇用率を達成していること

(3)雇用率制度の対象障害者を1名以上雇用していること(就労継続支援A型事業所の利用者は除く)

(4)過去に認定を取り消された場合、取り消しの日から起算して3年以上経過していること

(5)暴力団関係事業主でないこと

(6)風俗営業等関係事業主でないこと

(7)雇用関係助成金の不支給措置を受けていないこと

(8)重大な労働関係法令違反を行っていないこと

 認定の申請は、「基準適合事業主認定申請書」に必要書類を添付して、事業主の主たる事業所を管轄する都道府県労働局またはハローワークに提出することによって行う。
 認定を受けた事業主は、障害者雇用優良中小事業主認定マークを自社の商品・広告等に表示することができるほか、日本政策金融公庫の低利融資の対象となる、地方公共団体の公共調達等で加点評価を受けられる場合があるなどのメリットを受けることができる。

障害者雇用優良中小事業主認定マーク
(愛称:もにす)