経路不明の感染で労災認定 小売店販売員、接客原因か

 
 厚生労働省は10日、新型コロナウイルスに感染したが経路が特定されていない小売店販売員について、接客中に感染したとして労災認定したと明らかにした。厚労省によると、感染した場合は原則認定するとしている医療、介護従事者を除き、経路不明で認定された初めてのケースになる。
 厚労省は、クラスター(感染者集団)が発生した飲食店の店員や、感染した同僚と同じ作業車に同乗していた建設作業員といった認定事例もホームページで公表。加藤勝信厚労相は「こうした事例を参考に、業務で感染した場合は積極的に労災申請してほしい」と呼び掛けている。
 労働基準監督署が小売店販売員の労災申請を受けて調査したところ、発症前14日間に連日数十人を相手に接客。私生活では日用品の買い物や散歩でしか外出していなかった。医療専門家からの「接客中の飛沫や接触による感染が考えられる」との意見も踏まえ、業務中の感染と判断した。
 厚労省は4月、全国の労働局への通達で、医療、介護従事者は業務外での感染が明らかな場合以外は原則として労災保険の給付対象になるとの方針を示した。また、スーパーの店員、バスやタクシーの運転手、保育士など「顧客との近接や接触機会が多い職場」は感染リスクが高いとし、柔軟に対応するとしている。
(共同通信社)