2020年07月02日  共同通信社

教諭自殺巡り道に賠償命令 校長らに責任、仙台地裁


 
 2015年に北海道立稚内高(稚内市)の男性教諭=当時(34)=が自殺したのは、先輩教諭のパワハラが原因として、仙台市在住の両親が北海道に計約7070万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は1日、先輩教諭への適切な指導を怠った校長と教頭の安全配慮義務違反を認定し、道に約2530万円の支払いを命じた。
 中島基至裁判長は判決理由で「自殺の原因は教師としての自信を喪失させるような先輩教諭の度重なる注意にあった」と認定。「校長らが先輩教諭に自制を促し、男性との接触機会を減らしていれば、自殺することはなかった」と判断した。
 一方、先輩教諭の注意は(1)執拗だったが生徒指導に関する内容だった(2)校長らから男性がうつ状態になったと知らされずに行われた-として不法行為に当たらないとした。
 判決によると、男性は13年に同校の定時制に赴任。仕事に関し先輩教諭に注意を受け、15年6月にうつ状態と診断された。同7月に再び注意を受けた後に自殺した。遺書には「仕事のミスで周囲にわびる日を繰り返し、消えたくなる気持ちでいっぱいだった」と記していた。
 北海道教育庁の池野敦総務政策局長は「今後の対応については、判決書の内容を十分検討し判断したい」とのコメントを出した。
(共同通信社)