宇都宮市の公益財団法人「グリーントラストうつのみや」の有期雇用嘱託職員だった女性が、無期雇用への転換申請が可能になる直前に雇い止めをされたのは不当とし、地位の確認を求め提訴した訴訟の判決で、宇都宮地裁(伊良原恵吾裁判長)は10日、「女性に対する雇い止めに合理性は認められない」として、原告の訴えを認めた。
裁判で女性側は、2018年1月に法人側から、非正規労働者が有期契約を5年超更新すれば無期契約に転換できる「5年ルール」について、女性が同年4月から対象になると言及され、「今回契約更新はできない」などと雇い止めを告げられたと主張していた。
判決では、女性は法人の基幹業務に携わっていたと認定。法人について「女性の雇い止めを決めた経緯や手続きの妥当性がまったく検討されていなかった」とした上で、「人員整理を目的とした雇い止めで、合理性と社会的相当性は認められない」との判断を示した。
その上で、判決は法人に対し、18年4月以降の賃金を女性に支払うよう命じた。
原告側の石田弘太郎弁護士は「雇い止めが無期転換逃れだと認められた」と話し、原告の女性は「全国の同じ境遇にいる方々には、泣き寝入りせず自分を守ってほしい」と笑顔を見せた。
被告側の法人は「今回は主張が認められず残念。今後については、判決文を読んで判断する」とコメントした。
(共同通信社)