高年齢者就業確保措置

公開日 2020.5.20 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

高年齢者就業確保措置(こうれいしゃしゅうぎょうかくほそち)

 65歳から70歳までの安定した就業機会を確保するために、事業主が講じるべき措置。高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正により、2021年4月1日から、すべての事業主の努力義務とされる。高年齢者就業確保措置には、次の五つの措置がある。

①70歳までの定年引き上げ

②70歳までの継続雇用制度の導入

③定年の定めの廃止

④高年齢者が希望するときは、事業主が、新たに事業を開始する当該高齢者との間で、70歳まで継続的に当該事業に係る委託契約などを締結し、当該高年齢者の就業を確保する措置

⑤高年齢者が希望するときは、次に掲げる事業について、当該事業を実施する者が、当該高年齢者との間で、70歳まで継続的に当該事業に係る委託契約などを締結し、当該高年齢者の就業を確保する措置。(ただし、ロとハの事業については、事業主と当該事業を実施する者との間で、高年齢者が当該事業に従事する機会を提供することを約する契約を締結したものに限る)

イ 当該事業主が実施する社会貢献事業

ロ 法人その他の団体が当該事業主から委託を受けて実施する社会貢献事業

ハ 法人その他の団体が実施する社会貢献事業であって、当該事業主が当該社会貢献事業の円滑な実施に必要な資金の提供その他の援助を行っているもの

 ④⑤の措置(創業支援等措置)を導入する場合は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の、当該労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。
 なお、厚生労働大臣は、高年齢者の65歳から70歳までの安定した雇用の確保その他就業機会の確保のため必要があると認めるときは、事業主に対して、高年齢者就業確保措置の実施について必要な指導および助言を行い、さらに、指導、助言を行っても状況が改善していないと認めるときは、高年齢者就業確保措置の実施に関する計画の作成を勧告することができるものとされている。