中小の休業手当10割助成 雇用維持、要請受け入れで 解雇回避も条件


 厚生労働省は25日、新型コロナウイルスの感染拡大で業績悪化した企業が従業員を休ませた場合に支給する「雇用調整助成金」の上乗せ給付について、新型コロナ特措法に基づく要請に応じて休業や営業時間短縮をしたことを条件に中小企業への助成率を10割に引き上げると発表した。経営基盤の弱い中小企業に雇用維持を強く促すのが狙いで、水準の高い休業手当の支払いや解雇しないことも条件となる。
 助成金は、労働基準法で定める水準(60%)以上の休業手当を企業が従業員に支払う場合、国が一定割合を給付する仕組みだ。感染拡大を受け、すでに中小企業への助成率は通常の3分の2から解雇を伴わない場合には10分の9まで上乗せ給付している。今回の上乗せ拡大では、休業手当として従業員に賃金の100%か、助成の上限として定める日額8330円以上を支払っていることが前提となる。
 政府の緊急事態宣言発令後の4月8日にさかのぼって適用する。企業経営者から引き上げ要望の強い日額8330円の上限は現段階では維持するとしている。
 また、特措法に基づく休業要請を受けていない中小企業に対しても、解雇しないことを条件に、助成を上乗せし、労基法で定める60%を超える手当部分を国が全額負担する。賃金の100%の休業手当を支給した場合、会社負担分はこれまでは10%だが、特例として6%に抑える。
 加藤勝信厚労相は25日、首相官邸で記者団に「感染防止のためにも長期の休業が求められている。働く人の雇用をよりしっかり守る必要がある」と上乗せの意義を強調した。
(共同通信社)