機械部品製造会社で2011年、営業を担当していた男性=当時(51)=が長時間労働で脳出血を起こし過労死したとして、遺族が勤務先などに計約6400万円の損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁(長谷川浩二裁判長)は27日、勤務先に計約1500万円の支払いを命じた。
判決理由で長谷川裁判長は「遅くとも脳出血の2カ月前の時点で著しい疲労の蓄積をもたらす業務に従事しており、勤務先は時間外労働を制限するなどして業務の負担を軽減する義務を負っていた」と指摘。
男性は亡くなる1カ月前にも月約86時間に及ぶ時間外労働に従事させられたこともあり、脳出血が起きたとして「安全配慮義務違反を認める」とした。一方、健康診断で高血圧を指摘されても受診していなかったことなどから、死亡した要因の7割は男性側の過失にあったと認定した。
判決によると、男性は1989年にサンセイ(本社・神奈川県厚木市、12年に解散)に入社し、岩手県奥州市の支社で係長として勤務。11年8月に脳出血で死亡し、12年7月に労災認定された。
男性の長男(24)は判決後に横浜市内で記者会見を開き、「裁判所は過労死が仕方のないものだと思っているのではないか。控訴して争いたい」と話した。
(共同通信社)
2020年03月27日 共同通信社