日立製作所の50代男性社員が上司から退職を迫られ、パワハラを受けたとして、同社に約270万円の慰謝料を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は24日、20万円の支払いを命じた。違法な退職勧奨による精神的苦痛を認めた。
判決理由で新谷晋司裁判長は「上司は男性に対し、能力がないのに高額の賃金の支払いを受けているなどと自尊心を傷つけ、ことさらに困惑させる言動に及んだ」と指摘。「男性の意思を不当に抑圧し、違法な退職勧奨と認める」とした。
一方、この上司が、男性を☆(口ヘンに七)る内容のメールを社員ら約30人に一斉に送ったことについては「部下への指導に際し配慮が十分でない」としたものの、1回だけだったなどとしてパワハラには該当しないと結論付けた。
判決によると、男性は1988年に入社し、2012年から課長としてソフトウエア関連の業務に従事。16年8~12月、上司である部長は8回の個別面談の中で、早期退職を繰り返し迫り、男性が断っても「君の能力を生かせる仕事はない」「能力がなくても高い給料を払ってくれるのが(日立の)魅力ならそう言ってほしい」などと発言した。
日立製作所は「判決内容を精査し、今後の対応を検討する」とのコメントを出した。
(共同通信社)