勤務中に人身事故を起こした従業員が自ら被害者側に賠償した後、会社などの雇用主に相応の負担を請求することができるかどうか争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は28日、「可能」との初判断を示した。
民法715条は、従業員が仕事で第三者に損害を与えた場合、雇用主が被害者に賠償した後、従業員に負担を「求償」することができると規定。ただ従業員が先に賠償した後、雇用主に負担を求める「逆求償」が可能かどうかは明確な規定がない。
原告は運送大手、福山通運(広島県福山市)のドライバーだった女性。2010年に大阪府吹田市で同社のトラックを運転中に死亡事故を起こし、遺族に約1500万円を支払った。女性は同額を会社が負担すべきだとして提訴した。
17年9月の一審大阪地裁判決は「雇用主も相応の責任を負うべきだ」として逆求償の権利を認め、福山通運に約840万円の支払いを命じた。しかし18年4月の二審大阪高裁判決は「本来は従業員が全額の賠償責任を負うべきだ」との考え方から逆求償を認めず、原告側の逆転敗訴とした。
(共同通信社)