職場の感染拡大防止へ加速 テレワーク、休める環境を 厚労省、経済界に要請

 
 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)拡大を受け、厚生労働省は21日、経団連や日本商工会議所といった経済4団体に対し、労働者が休みやすい環境の整備や在宅勤務などの「テレワーク」、時差通勤の積極的な活用などの取り組みを要請した。職場での感染拡大を食い止めるためには、経済界の協力が不可欠と判断、官民挙げた対応を加速させる。
 加藤勝信厚労相は記者会見で「風邪の症状が見られる時は会社を休み、外出を控えることが必要だ」と呼び掛けた。
 経済団体への要請内容は(1)発熱など風邪の症状が見られる際に休みやすい環境整備(2)安心して休めるよう収入に配慮した病気休暇制度の整備(3)テレワークや時差通勤の積極的な活用-といった感染拡大防止策。正社員だけでなく、パートや派遣労働者など非正規雇用も含めて対応するよう求める。
 厚労省は企業の取り組みを促すため、労働者を休ませる場合の留意点や、休業手当の取り扱いといった具体的な情報を同省ホームページにまとめ、周知を図る。
 要請を受け、日商は全国515会議所に、経団連は会員企業・団体約1600社にそれぞれテレワーク活用などを周知する。経団連は職員に対しても、テレワークや時差通勤の活用を促す。日商の三村明夫会頭は「テレワークは感染対策と通常の日常生活を両立させる一つのアイデアだ」と語った。
 企業の感染防止策を巡っては、富士通や日立製作所など電機大手などがテレワークの上限を撤廃するなど対応を強化。KDDI(au)は派遣社員を含めた約1万6千人の従業員に同様の取り組みを推奨している。
 農林水産省が25日から本格的に導入するなど中央官庁でも検討。加藤氏は21日の会見で厚労省の対応を問われ「まだ役所全体が新型コロナウイルス対策にかかっているところだが、できることから実施していきたい」と述べた。
(共同通信社)