会社員自殺、労災と認める 「業務に起因」と福井地裁

 
 福井県敦賀市の不動産会社に勤務していた男性=当時(42)=が2012年に自殺したのは過重労働による精神障害が原因として、母親が遺族補償給付などを不支給とした敦賀労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、福井地裁は12日「適応障害の発症および自殺は業務に起因する」として労災と認め、処分を取り消した。
 判決で武宮英子裁判長は、タイムカードや警備記録などから自殺直前の時間外労働は1カ月約104時間で、不動産会社での勤務に加え、同社経営の飲食店の業務も担い、業務量が過重だったと指摘。これらの心理的負担から適応障害を発症したと判断し、自殺と業務との因果関係を認めた。
 判決によると、男性は05年から毎年、夏季に飲食店で勤務。副店長として働いていた12年8月、自宅で自殺した。
 遺族側は13年、遺族補償年金などの支給を請求したが、同労基署は14年、精神障害は発生していないとして不支給処分とした。その後の審査請求はいずれも棄却された。
 判決を受け、福井労働局労災補償課の丸葉勝彦課長は「今後の対応は判決内容を検討し、関係機関と協議して判断したい」とコメントした。
(共同通信社)