東京都内で約11万~12万人と推計される「就職氷河期世代」の非正規雇用や無職の人々に対する支援策として、都が近く公表予定の2020年度予算案に計約7億円を計上し、正規雇用や育成に関する企業への助成金支給や都職員の採用試験などを実施する方針を固めたことが21日、関係者への取材で分かった。
バブル崩壊後の就職難だった人々が多く職を求めているとみられる大都市圏の自治体独自の救済策として注目されそうだ。都は不安定な就労が長期化し、既存の取り組みでは支援が不十分な状態が続くと分析。3カ年で集中的に正規雇用化を図る国の方針と足並みをそろえ、対策を強化する。
20年度は新規に三つの事業を計画。派遣先企業とのマッチング事業には約4億円を計上し、年間300人を対象に1人当たり最大3社の企業で派遣社員としてそれぞれ約1カ月働いた後、派遣先での適性などを踏まえて正社員としての就職を目指す。
助成金の支給事業では、正社員としての雇用や定着を図るための育成計画の策定や研修を実施した事業者に最大で90万円を助成。年間300事業所への支給を想定し、約3億円を予算化する。都職員の採用試験は30代半ばから40代半ばを対象として20年秋に実施し、約4千万円を盛り込む。
就職氷河期世代への対策は政府が昨年末に3年間で650億円超を投じる方針を打ち出した。交付金制度を創設し、自治体ごとに計画を策定。厚生労働省と内閣府が中途採用枠の募集を始め、地方自治体にも採用を促している。
対象をこの世代に特化した自治体の正規採用は国に先駆けて兵庫県宝塚市が昨年夏に募集し、約600倍の倍率となって話題を呼んだ。兵庫県や鳥取県、京都市など各地でも相次いで採用方針を打ち出している。
(共同通信社)