公開日 2020.1.14 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
就職氷河期世代支援に関する行動計画2019(しゅうしょくひょうがきせだいしえんにかんするこうどうけいかく2019)
雇用環境が厳しかった「就職氷河期」に就職活動を行い、その後、長期にわたり不安定な仕事に就いている、または仕事を辞めて引きこもり状態になっているなどの問題を抱える30代後半から40代後半の者の就労や社会参加を促すために、政府、地方自治体および各種機関が取り組む施策をまとめた行動計画。
「経済財政運営と改革の基本方針 2019」(2019年6月21日閣議決定)に盛り込まれた「就職氷河期世代支援プログラム」を着実に実行するため、同年12月23日に就職氷河期世代支援の推進に関する関係府省会議が決定し、公表した。
「就職氷河期世代支援プログラム」において、政府は3年間の集中的な支援に取り組む方針を打ち出しており、この行動計画では、個別の取り組みについて具体的に明らかにするとともに各施策の成果目標を定めている。これにより、地方自治体や関係支援団体等の施策の推進に当たり、協力を求める関係者との認識の共有を図りつつ、今後の進捗状況を確認していくこととしている。
行動計画に盛り込まれた主な取り組みは、次のとおりである。
(1)就職氷河期世代支援の推進に向けた「全国プラットフォーム」を定期的に開催する。また、都道府県内の就職氷河期世代の活躍支援策のとりまとめ、進捗管理等を統括する「「就職氷河期世代活躍支援都道府県プラットフォーム」を設置し、あわせて、福祉と就労をつなぐ「市町村のプラットフォーム」を整備する。
(2)全国の主要なハローワークに専門窓口を設置し、担当者がチームを結成して、就職から職場定着まで一貫した支援を実施する。
(3)国土交通省において、観光業、自動車整備業、建設業、造船・舶用工業、船員等への新規就業者の確保・育成のための各種支援を行う。また、農林水産省において、農業、林業、漁業への新規就業者の確保・育成のための施策を実施する。
(4)複数大学の協働による情報技術分野を中心とした実践教育プログラムの開発、専修学校と行政、企業の連携による非正規雇用者等のキャリアアップを目的とした学び直し合同講座の開発など、大学・専修学校等における出口一体型のリカレント教育を推進するための施策を行う。
(5)職業に就くことが困難な者を雇用すること、あるいは非正規雇用労働者を正規雇用に転換することなどに積極的に取り組む事業主に対する助成金を拡充する、あるいは、就職氷河期世代を対象とした年齢限定の求人を民間の職業紹介事業者でも可能するなどの施策を実施して、採用企業側の受入機会の増加につながる環境を整備する。
(6)アウトリーチ等の充実による自立相談支援機関の機能強化、ひきこもり地域支援センターと自立相談支援機関の連携強化などを通じて、個々人の状況に合わせた、より丁寧な寄り添い支援を実現する。
(7)就職氷河期世代に対する国の支援策について政府広報等を通じて積極的な広報を実施する、あるいは、国家公務員や地方公務員の中途採用を促進するなどの取組みを行う。