職場における受動喫煙防止のためのガイドライン

公開日 2020.1.14 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

職場における受動喫煙防止のためのガイドライン(しょくばにおけるじゅどうきつえんぼうしのためのがいどらいん)

 受動喫煙防止措置について、改正健康増進法により多数の者が利用する施設等の管理権原者等に義務付けられる事項、および労働安全衛生法68条の2により屋内勤務の労働者に対して事業者が実施すべき事項を一体的に示したガイドライン。
 厚生労働省が2019年7月1日に策定したもので、その主な内容は次のとおりである。

(1)職場における受動喫煙防止対策の実施に当たり、事業者は、事業場の実情に応じ、次のような取り組みを組織的に進めること。

①受動喫煙防止対策に関し将来達成する目標やその目標を達成するために講じる措置や活動などを盛り込んだ推進計画を策定する。

②受動喫煙防止対策の担当部署や担当者を指定する。

③受動喫煙防止対策の状況を衛生委員会等における調査審議事項とする。また、産業医の職場巡視に当たり、受動喫煙防止対策の実施状況に留意する。

④事業所内に喫煙することができる場所を定めようとするときには、当該場所の出入口および施設の主たる出入口の見やすい箇所に必要な事項を記載した標識を掲示する。

⑤労働者に対して、受動喫煙の健康への影響や受動喫煙防止措置等に関する教育や相談対応を行う。さらに、受動喫煙防止対策の担当部署等は、受動喫煙対策等に関する情報を収集し、衛生委員会等に適宜提供する。

⑥労働者の募集および求人の申し込みに当たっては、就業の場所における受動喫煙を防止するための措置に関する事項を明示する。

⑦妊娠している労働者や呼吸器・循環器等に疾患を持つ労働者など、受動喫煙による健康への影響を一層受けやすい懸念がある者に対して特に配慮を行う。

(2)20歳未満の労働者を喫煙専用室に立ち入らせないこと。また、喫煙専用室等に立ち入らせて業務を行わせないようにすること。

(3)望まない受動喫煙を防止するため、宿泊施設の客室や老人ホームなど入居施設の個室などの喫煙可能な場所に20歳未満の者が立ち入らないよう措置を講じること。

(4)20歳以上の労働者についても、望まない受動喫煙を防止するために、勤務シフトや勤務フロア、動線などを工夫すること。

(5)学校、病院、児童福祉施設など、健康増進法により「原則敷地内禁煙」とされている施設(第一種施設)内では、受動喫煙を防止するために必要な技術的基準を満たす特定屋外喫煙場所を除き、労働者に敷地内で喫煙させないこと。

(6)多数の者が利用する施設(第一種施設および喫煙目的施設を除く)で、健康増進法により「原則屋内禁煙」とされている施設(第二種施設)内では、たばこの煙の流出を防止するための技術的基準に適合した室を除き、労働者に施設の屋内で喫煙させないこと。

(7)喫煙目的施設および既存特定飲食提供施設の事業者は、喫煙可能室を設ける施設の営業について広告または宣伝をするときは、喫煙目的室または喫煙可能室の設置施設であることを明らかにしなければならないこと。