厚生労働省は、2021年4月から高齢者が希望すれば70歳まで働けるよう企業に就業機会の確保を求める関連法案の要綱をまとめ、8日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の専門部会で大筋了承された。70歳就業を企業の努力義務とする。仕事を掛け持ちする人の労災認定時、本業を含む全ての労働時間を合算した残業時間を基に判断する新制度を導入。副業・兼業でも労災認定が受けやすくなる。
法案は20日召集予定の通常国会に提出する。高齢者雇用を巡り、元気で意欲のある人に働いて保険料などを負担してもらうことで、社会保障の「支え手」を増やす狙い。安倍晋三首相も年頭記者会見で「生涯現役社会をつくり上げる」と強調している。
要綱によると、企業は70歳までの就業に向け(1)定年延長(2)65歳以上の継続雇用制度導入(3)定年廃止(4)他社と企業間契約を結んだ上で転職させる-のいずれかの方法で希望者が就労できる環境整備する努力義務を負う。
労働組合の同意を前提に(5)本人が起業したり個人事業主として働いたりする場合、業務委託する(6)自社が関与する社会貢献事業に従事させる-との選択肢も認めた。
短時間の仕事を複数掛け持ちする人が多いとみられ、こうした高齢者を保護するため、雇用保険の加入要件について65歳以上に限って緩和。22年1月から労働時間が合算で週20時間以上になれば加入できるようにする。
現役時代に比べ大幅に減給した60~64歳に月給の最大15%を支給する高年齢雇用継続給付制度について、25年度から最大10%へと引き下げる。
関連法案は、高年齢者雇用安定法や労災保険法、雇用保険法を含む計6本の改正案を束ねたもので労政審で示された。
(共同通信社)