公開日 2019.9.27 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
就職氷河期世代(しゅうしょくひょうがきせだい)
バブル崩壊や不良債権問題を背景とした企業の新卒採用抑制により、就職難が顕在化した1993年から2004年までに学校卒業期を迎えた世代。雇用環境が厳しい時期に就職活動を行ったために、希望する就職ができないまま不本意ながら不安定な仕事に就いている、その後も無業の状態にあるなど、さまざまな課題に直面している者が多いといわれている。
就職氷河期世代の活躍に向けた支援が必要との認識の下、厚生労働省は、2019年5月29日に、厚生労働大臣を本部長とする「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」において「厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン」を取りまとめた。さらに、同年6月21日には、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2019」が閣議決定され、そこでは、厚生労働省の支援プランの内容を盛り込んだ「就職氷河期世代支援プログラム(3年間の集中支援プログラム)」が示された。
このプログラムは、「正規雇用を希望していながら不本意に非正規雇用で働く者(少なくとも50万人)、就業を希望しながら様々な事情により求職活動をしていない長期無業者、社会とのつながりを作り社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者など、100万人程度」を支援対象とするもので、施策の方向性には次のものが挙げられている。
(1)相談、教育訓練から就職まで切れ目のない支援
○きめ細かな伴走支援型の就職相談体制の確立
○受けやすく、即効性のあるリカレント教育の確立
○採用企業側の受入機会の増加につながる環境整備
○民間ノウハウの活用
(2)個々人の状況に合わせた、より丁寧な寄り添い支援
○アウトリーチ(能動的な支援の働き掛け)の展開
○支援の輪の拡大
2019年7月31日には、内閣官房に「就職氷河期世代支援推進室」が設置され、政府を挙げて就職氷河期世代の支援に取り組む体制が整備された。政府は、支援プログラムによる集中的な支援により、就職氷河期世代の正規雇用者については30万人増やすことを目指している。