ギグワーカー

公開日 2019.8.20 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

ギグワーカー(ぎぐわーかー)

 スマートフォンのマッチングアプリなどを用いて、自分が都合の良い時間に、単発の仕事を請け負う労働者のこと。例えば、配送会社のアプリに登録しておいて、自分の空いた時間にオファーが入れば、その時間だけ配送員として働くような労働者を指す。
 不定期かつ単発で仕事を行うために、仕事の発注者とギグワーカーとの間には雇用関係は成立せず、その点が、アルバイトや登録型派遣とは異なっている。また、ギグワーカーは、すき間時間の範囲内でできる軽易な作業を行うもので、その点が、一定の時間をかけて案件単位で仕事を受けるフリーランスとは異なっている。
 欧米では、インターネットにより仕事と労働者のマッチングが可能になったことから、配送事業を中心に、2000年ごろからギグワーカーが一つの働き方として社会に浸透してきた。日本は、欧米に比べるとギグワーカーは広がりを見せてはいないが、それは次の理由によるものと考えられる。

(1)登録型派遣や短期アルバイトなど、ギグワーカーに近い働き方がすでに浸透していること

(2)不安定で、将来が見えない働き方であるため、ギグワーカーになろうとする労働者が少ないこと

(3)仕事の発注者が、継続的な信頼関係を重視して、個人に対して単発で仕事を依頼することを避ける傾向があるため、ギグワークを行う機会が広がらないこと

 将来的には、兼業・副業を認める会社が増加する中で、副業の一形態としてギグワークが行われる可能性があり、日本においてもギグワーカーが増加するものと見込まれている。