高度プロフェッショナル制度

公開日 2019.4.1 あした葉経営労務研究所

●高度プロフェッショナル制度(特定高度専門業務・成果型労働制)とは、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と成果との関連性が高くない一定の業務に従事する一定年収以上の労働者を、労働時間規制(労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規制)の対象から除外する制度である(労働基準法41条の2)。

●高度プロフェッショナル制度は上記の労働時間規制が全て適用除外となる点で、裁量労働制とは異なる。裁量労働制は、労働時間を実労働時間に関係なく一定時間働いたものと「みなす」もので、休憩や休日及び深夜の割増賃金に関する規制は除外されない。

●高度プロフェッショナル制度は、対象労働者や対象業務が明確に定められており、労使委員会において、委員の5分の4以上の多数により一定事項を決議し、一定の健康確保措置等を講じ、職務の内容と制度適用について対象労働者の同意を得て対象業務に就かせることで、労働時間規制等の適用を除外することができる。

●対象労働者は、年収1075万円以上(平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準)で、対象業務は、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)、コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案または助言の業務)、研究開発業務と限定されている。

●また健康確保措置として、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法で健康管理時間(事業所内にいた時間と事業所外で労働した時間の合計)を把握すること、1年を通じ104日以上かつ4週4日以上の休日を確保することを義務づけ、さらに、インターバル措置、健康管理時間の上限設定などの措置を選択的に義務づけている。

●なお、健康管理時間が1週間当たり40時間を超えた場合におけるその超えた時間が100時間を超える対象労働者に対しては、医師の面接指導が義務づけられている(労働安全衛生法66条の8の4)。

(あした葉経営労務研究所 代表 本田和盛)