36協定の特別条項

公開日 2019.4.1 あした葉経営労務研究所

●36協定の締結と行政官庁への届出により、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて、労働基準法36条4項が定める限度時間(1カ月45時間、1年360時間。対象期間が3カ月を超える1年単位の変形労働時間制により労働させる場合は1カ月42時間、1年320時間)までの時間外労働をさせることが可能となる。時間外労働は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において限度時間まで可能である(平30.9.7 基発0907第1号)。

●一方、「当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」(労働基準法36条5項)に、限度時間を超えて時間外・休日労働をさせるには、36協定に特別条項を付帯する必要がある。

●「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」とは、全体として1年の半分を超えない一定の限られた時期において一時的・突発的に業務量が増える状況等により限度時間を超えて労働させる必要がある場合をいうものであり、「通常予見することのできない業務量の増加」とは、こうした状況の一つの例として規定されたものである(平30.12.28 基発1228第15号)。

●特別条項には、限度時間を超えて時間外・休日労働をさせることができる時間(1カ月100時間未満、1年720時間以内)、時間外労働が限度時間を超えることができる月数(1年について6カ月以内に限る)を定めなければならない。その上で、具体的にどのような場合を協定するかについては、労使当事者が事業又は業務の態様等に即して自主的に協議し、可能な限り具体的に定める必要がある(平30.12.28 基発1228第15号)。

●特別条項を付帯した場合でも、時間外労働は必要最小限にとどめられるべきであり、労働時間の延長は原則として限度時間を超えないものとされていることに留意し、当該時間を限度時間にできる限り近づけるように努めなければならない(平30.9.7 告示323号)。

●なお、時間外労働時間が1カ月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合は、医師による面接指導を行わなければならない(労働安全衛生法66条の8)。

(あした葉経営労務研究所 代表 本田和盛)