労働施策総合推進法

公開日 2019.1.18 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

労働施策総合推進法(ろうどうしさくそうごうすいしんほう)

 2018年6月29日に成立した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(同7月6日公布)において、働き方改革の総合的かつ継続的な推進を図るため、それまでの「雇用対策法」を改正して制定された法律。正式な名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」である。
 雇用対策法からの主な改正点は次のとおり。

(1)法の目的として、「労働施策を総合的に講ずることにより、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定および職業生活の充実、労働生産性の向上を促進して、労働者がその能力を有効に発揮することができるようにし、その職業の安定などを図ること」が明記された(1条)

(2)基本的理念に、「労働者は、職務および職務に必要な能力などの内容が明らかにされ、これらに即した公正な評価および処遇その他の措置が効果的に実施されることにより、職業の安定が図られるように配慮されるものとすること」が追加された(3条)

(3)国の施策として、次のような施策が追加された(4条)

・労働時間の短縮その他の労働条件の改善

・多様な就業形態の普及

・雇用形態または就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保

・育児や介護を行う者または治療を受ける者の職業の安定を図るため、雇用の継続、円滑な再就職の促進、その他の就業の促進を図るために必要な施策

(4)事業主の責務として、「労働者の労働時間の短縮その他の労働条件の改善など、労働者が生活との調和を保ちつつ意欲と能力に応じて就業できる環境の整備に努めなければならないこと」が追加された(6条)

(5)国は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働施策の総合的な推進に関する基本的な方針を定めることとされた(10条)

 この法律に基づき、働き方改革の意義やその趣旨を踏まえた国の施策に関する基本的な事項などを示した「労働施策基本方針」が2018年12月28日に閣議決定され、公表された。