労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針

公開日 2018.10.23 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針(ろうどうしゃのしんしんのじょうたいにかんするじょうほうのてきせいなとりあつかいのためにじぎょうしゃがこうずべきそちにかんするししん)

 労働者の心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにし、事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用などについて定めた指針。「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」による改正後の労働安全衛生法104条3項に基づき、厚生労働省が、2018年9月7日に公表し、2019年4月1日から適用される。

 この指針では、「心身の状態の情報が、労働者の健康確保措置の実施や事業者が負う民事上の安全配慮義務の履行の目的の範囲内で適正に使用され、事業者による労働者の健康確保措置が十全に行われるよう」に、事業者に対して、心身の状態の情報の取扱いに関する規程を定め、労使で共有することを求めている。

(1)心身の状態の情報を取り扱う目的および取扱い方法

(2)心身の状態の情報を取り扱う者およびその権限ならびに取り扱う心身の状態の情報の範囲

(3)心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法および本人同意の取得方法

(4)心身の状態の情報の適正管理の方法

(5)心身の状態の情報の開示、訂正等(追加および削除を含む)および使用停止等(消去および第三者への提供の停止を含む)の方法

(6)心身の状態の情報の第三者提供の方法

(7)事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに関する事項

(8)心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理

(9)取扱規程の労働者への通知方法

 また、この指針では、事業者に対して、心身の状態の情報の取扱いに労働者が同意しないことや心身の状態の情報の内容を理由として、解雇や退職勧奨などの不利益な取扱いを行うことを禁止している。

 なお、個人情報の保護に関する法律において規定される、心身の状態の情報の適正管理のために事業者が講ずべき措置(心身の状態の情報を必要な範囲において正確・最新に保つための措置、心身の状態の情報の漏えい、減失、改ざん等の防止のため措置、保管の必要がなくなった心身の状態の情報の適切な消去等)についても事業場ごとに取扱規程に定める必要があるものとしている。