公開日 2018.10.23 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
均衡待遇規定・均等待遇規定(きんこうたいぐうきてい・きんとうたいぐうきてい)
正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)との間で不合理な待遇差をなくすために、法令または行政のガイドラインに定められた規定で、不合理な待遇差の禁止を定めたものを「均衡待遇規定」、差別的取扱いの禁止を定めたものを「均等待遇規定」という。具体的に言えば、均衡待遇規定は、前提条件の違いに応じたバランスのとれた待遇差については認めるものであり、一方、均等待遇規定は、前提条件が同じであれば、または前提条件に関わりなく、待遇を同じにすることを求めるものである。
パートタイム労働者については、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」において、職務内容(業務の内容および責任の程度)、職務内容および配置の変更の範囲、その他の事情を考慮した上で、パートタイム労働者と通常の労働者(正規雇用者)との間に不合理な待遇差を設けることを禁止する均衡待遇規定(8条)を、また、職務内容および配置の変更の範囲が通常の労働者と同じである場合は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的取扱いを禁止する均等待遇規定(9条)を定めている。
一方、有期雇用労働者について現時点では、労働契約法20条で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を定める均衡待遇規定が設けられている。なお、2020年4月1日に、パートタイム労働法の対象に有期雇用労働者が含められて「パートタイム・有期雇用労働法」になることに伴い、有期雇用労働者についても、パートタイム労働者と同様の均等待遇規定が適用されることになる。
また、派遣労働者については、労働者派遣法30条の3において、賃金、教育訓練および福利厚生などについて、派遣先労働者との均衡待遇に配慮することが定められていたが、2020年4月1日より、次のいずれかの方式を選択することにより、不合理な待遇差をなくすための規定を整備することを義務づけている。
(1)派遣先の労働者と均等・均衡待遇
(2)同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であることなど、一定の要件を満たす労使協定による待遇
なお、厚生労働省では、均衡待遇規定、均等待遇規定に関する解釈を明確に示すため、ガイドライン(指針)を策定することとしている。