雇用類似の働き方

公開日 2018.2.21 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

雇用類似の働き方(こようるいじのはたらきかた)

 相手方(使用者)との間で雇用関係はないものの、業務が発生する都度、相手方と請負契約や業務委託契約を結んで仕事を行う、雇用と自営の中間的な働き方。「インディペンデント・コントラクター」や「フリーランス」などと呼ばれる個人事業主が中心で、テレワークなどにより営業・販売や情報処理技術(ソフトウェア開発)などの業務を行っていることが多い。
 雇用類似の働き方のメリット、デメリットとして、次の点が挙げられる。

【メリット】

●労働者は、自分がやりたい仕事を自由に選択することができる

●労働者は、労働時間や就業場所の裁量権が大きい。ワーク・ライフ・バランスを実現できる

●使用者は、必要なときに、必要なだけ業務を発注できるので、コストを節約できる

●使用者は、従業員を雇用することによって生じる負担(社会保険料の支払い、労働時間や安全面の管理など)を軽減できる

【デメリット】

●労働者は、仕事が常に受注できるとは限らず、収入が不安定になる

●労働者は、使用者の交渉力が強いと、低い報酬でも仕事を受けざるを得ない

●使用者は、業務の進捗管理ができないため、品質低下や納期遅れなどの問題が生じることがある

 雇用類似の働き方をしている者の中には、一つの会社と専属的な契約関係にあって、主な収入源をそこに依存している場合も多く、値引きの強要など、当事者間の交渉力の格差などから生ずるトラブルが発生するようになってきた。そこで、これらの者も、労働契約法制の対象として、一定の保護を図ることが必要であるとの考え方が広がっている。
 厚生労働省は2017年10月から「雇用類似の働き方に関する検討会」を実施し、雇用類似の働き方をする者の保護などの在り方についての検討を進めている。