キッズウィーク

公開日 2017.12.14 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

キッズウィーク(きっずうぃーく)

 地域ごとに学校の夏休みなどの長期休業日を分散化し、さらに、学校が休みとなった日に大人も積極的に有給休暇を取得することによって、子供と大人が一緒にまとまった休日を過ごす機会を創出しやすくするための取り組み。例えば、小学校の夏休みのうち5日分を10月に移動させ、それに合わせて保護者も有給休暇を取得することにより、秋にも長期休暇を創設することなどである。
 2017年7月18日に首相官邸で開催された「大人と子供が向き合い休み方改革を進めるための『キッズウィーク』総合推進会議」で提唱され、2018年度から開始される。
 キッズウィークの主な狙いは、次の点にある。

●家族や仲間とゆったりと休日を過ごすことにより、子供たちの豊かな心や人間性を育む。

●大人(労働者)の有給休暇の取得を促す。

●観光需要の平準化による混雑緩和、ハイシーズンの宿泊料金の低廉化と雇用の拡大、地域の活性化に資する。

 政府は、キッズウィークの普及を図るため、次の取り組みを行うこととしている。

(1)法令上の措置による学校休業日の分散化の明確化と周知
2017年度中に学校休業日の分散化を促進するための法令上の手当てを講じるとともに、学校現場が混乱しないような手だてを検討する。さらに、休業日設定や企業における休暇取得の促進などに資するよう全国の休業日分散化の状況を取りまとめるとともに、分散化の工夫事例を公表・周知する。

(2)有給休暇取得に関する企業への働き掛け
「年次有給休暇取得促進期間(10月)」を中心に、子供たちの休業日に合わせた休暇取得に配慮するよう重点的に周知啓発を実施するとともに、事業主の自主的な取り組みを促進するための法律に基づく指針を改正する。また、産業界における休暇取得の経済的インセンティブ付与の仕組みの導入を目指す。公務員(教員を含む)の有給休暇取得も奨励する。

※上記に伴い、「労働時間見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)」に「地域の実情に応じ、労働者が子供の学校休業日や地域のイベント等に合わせて年次有給休暇を取得できるよう配慮すること」との文言が加えられ、2017年10月1日から適用されている。

(3)多様な活動機会の確保要請および柔軟な宿泊商品の造成
親子でスポーツ・文化などに親しむことができるプログラムの提供、社会教育施設・文化施設の無料開放などが行われるよう、地方公共団体や各種団体に協力を要請する。また、家族が宿泊する際に、人数にかかわらず利用できる適切な料金の宿泊商品の造成を観光業界に促す。

(4)保護者が休めない家庭の子供への対応
キッズウィークの実施に合わせ、子供の居場所づくり、イベントづくりなど、どうしても保護者がともに休めない家庭の子供への対応について関係機関に要請するとともに必要な支援を行う。

 以前から、一部の地域の公立学校において独自の休みを設定する取り組みが見られたが、キッズウィークの導入により、このような取り組みが、今後は全国的に広がるものと見込まれている。