中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン

公開日 2017.12.14 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン(ちゅうしょうきぎょう・しょうきぼじぎょうしゃひとでぶそくたいおうがいどらいん)

 中小企業・小規模事業者の人手不足が深刻化する中、多様な働き手が活躍できる職場づくり、ITや設備の導入による生産性の向上などを実践した企業の事例を収集して、人手不足を乗り越えるポイントを整理したガイドライン。2016年度に開催された「中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会」の取りまとめとして、2017年3月に中小企業庁が公表した。
 人手不足対応に向けた基本的な考え方として、「人手不足というピンチを、会社を変革し、また、成長していくためのチャンスととらえること」「人手不足への対応は、職場環境整備による人材確保と設備導入などによる生産性向上の2通りがあること」の2点を挙げ、具体的な対応としては、次の3つのステップが重要であるとしている。

ステップ1: 経営課題や業務を見つめ直す

・経営課題に遡り、経営理念や事業戦略の方向性を再認識する

・出発点として、人材確保の経営課題上の意味・目的を明確化する

・固定観念を払拭して、業務の分析、細分化などを行ってみる

ステップ2: 業務に対して、生産性や求人像を見つめ直す

・業務の絞り込みや段取り変更等などのソフト的なアプローチ、およびITやロボットなどの設備を投入して省力化を図るハード的なアプローチを考える

・業務のどこにムリ、ムダ、ムラがあるのかを考え、削減方法を考える

・固定観念を払拭し、業務の見直しと合わせて、求人像の幅を拡げる

ステップ3: 働き手の目線で、人材募集や職場環境を見つめ直す

・採用したいターゲットを明確にして、会社からのメッセージをリアルに伝える

・インターンシップや職場見学会等により企業理解を促進する

・女性、高齢者、外国人など、働き手の制約や志向を考えて、職場環境整備を図る

 ガイドラインには、100社以上の事例集も盛り込まれており、人手不足対応を実践する事業者の参考となるように工夫が施されている。
 中小企業庁では、中小企業団体などの各種取り組みと連携したり、「よろず支援拠点」に人手不足対応アドバイザー(仮称)を配置したりするなどして、このガイドラインの普及、浸透を図る取り組みを推進することにしている。