公開日 2017.10.12 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
リカレント教育(りかれんときょういく)
学校教育を人々の生涯にわたって分散させようとする考え方で、もともとは「職業上必要な知識・技術を修得するために、フルタイムの就学とフルタイムの就職を繰り返すこと」を意味していた。日本においては、フルタイムの就学と就職を繰り返すことが困難であることから、成人が「働きながら学ぶこと」、「学校以外の場で学ぶこと」なども含めて、幅広く捉えられている。
1969年に開催されたヨーロッパ文部大臣会議において、スウェーデンの文部大臣であったパルメ氏がスピーチの中でこの言葉を使ったのが最初と言われており、その後、OECD(経済協力開発機構)が注目したことから、1970年代には教育政策論として各国に普及した。
当初、リカレント教育の必要性は、次の点にあると考えられていた。
(1)これまで、教育制度の普及・充実は、青少年を主たる対象とした教育を延長することにより行われてきたが、それは、青少年の社会参加を遅らせて、社会への貢献の機会を少なくする恐れがあること
(2)急激な社会変動に伴い、新たな知識、技術の習得が求められることに対して、人生初期の教育だけで対処することは困難であること
(3)社会経験を積む中で学習動機が生じた成人のほうが、青少年よりも効率が高い教育を実施できること
近年の日本においては、出産・育児などによりキャリアを中断した女性(子育て女性)の再就職・キャリアアップに資する教育訓練として、「リカレント教育」に対する関心が高まっている。2017年3月、働き方改革実現会議が決定した「働き方改革実行計画」では、「女性のリカレント教育など個人の学び直しへの支援などの充実」が盛り込まれ、これを受けて、18年1月から職場で求められるスキルを習得する専門実践教育訓練給付金の拡充が実施されることになった。