公開日 2017.10.12 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
健康管理時間(けんこうかんりじかん)
2017年9月8日に厚生労働省が労働政策審議会に諮問した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」に盛り込まれた特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)※が適用される労働者の健康管理を行うための時間。対象労働者が事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間を合計して算出する。ただし、対象労働者が事業場内にいた時間については、労使で構成する委員会(賃金、労働時間その他の労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対して当該事項について意見を述べることを目的とするもの。以下、委員会)が、厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときには、その決議に係る時間を除いた時間とされる。
労働基準法の規定に基づく労働時間管理がなじまない特定高度専門業務・成果型労働制の対象者について、過重労働を防止するために新たに導入される考え方である。
法律案要綱では、特定高度専門業務・成果型労働制の導入要件に当たる委員会の決議事項として、健康管理時間を把握する措置、健康管理時間の状況に応じた対象労働者の健康および福祉を確保するための措置(有給休暇の付与、健康診断の実施その他の厚生労働省令で定める措置)など、健康管理時間にまつわるものを盛り込んでいる。
※特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)
高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる一定の業務に従事し、かつ一定額以上の年間賃金が見込まれる労働者について、委員会で必要事項を決議し、それを行政官庁に届け出た場合において、本人から書面等の方法で同意を得れば、労働基準法で定める労働時間、休憩、休日および深夜の割増賃金に関する規定を適用しないこととする制度。
[編注]上記はいずれも、改正法案が国会提出される以前の法律案要綱に基づく情報であり、今後作成される法律案またはその後の国会審議により修正・変更となる場合があります。