公開日 2017.9.14 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
職業紹介事業(しょくぎょうしょうかいじぎょう)
求人および求職の申し込みを受け、求人者と求職者の雇用関係の成立をあっせんすること(職業紹介)を事業として行うこと。
職業紹介事業の役割としては、「勤労権および職業選択の自由を保障すること」と「労働力需給調整を効果的に行うこと」の2点が挙げられるが、前者の役割は公共職業安定所が、後者の役割は民間および地方公共団体が主に担っている。
「職業紹介を事業として行う」ことについて、厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」(2017年5月)では次のように定義している。
(1)一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に遂行することをいい、1回限りの行為であったとしても反復継続の意思を持って行えば事業性があるが、形式的に繰り返し行われたとしても、すべて受動的、偶発的行為が継続した結果であって反復継続の意思を持って行われていなければ、事業性は認められない。
(2)具体的には、一定の目的と計画に基づいて行われるか否かによって判断され、営利を目的とする場合に限らず、また、他の事業と兼業で行われるか否かを問わないものである。
(3)しかしながら、この判断も一般的な社会通念に則して個別のケースごとに行われるものであり、営利を目的とするか否か、事業として独立性があるか否かが反復継続の意思の判定にとって重要な要素となる。例えば、①職業紹介を行う旨宣伝、広告している場合、②事務所を構え職業紹介を行う旨看板を掲げている場合などについては、原則として事業性ありと判断される。
職業紹介事業には、有料のものと無料のものがある。
有料職業紹介事業は、無料職業紹介以外の職業紹介を行う事業、すなわち、営利を目的とするか否かにかかわらず、職業紹介に関し、対価を徴収して行う職業紹介事業をいう。職業安定法30条の規定により厚生労働大臣の許可を受けることが必要であるが、港湾運送業務、建設業務、その他厚生労働省令で定める職業については、有料職業紹介事業を行うことはできない。
無料職業紹介事業は、職業紹介に関し、営利を目的とするか否かにかかわらず、いかなる名義でも、対価を受けないで行う職業紹介事業をいう。一般の者が行う場合には、職業安定法33条の規定により厚生労働大臣の許可を受けること、また、学校等が行う場合には厚生労働大臣に届け出ることが必要である。なお、地方公共団体も、無料職業紹介事業を行うことができる。
厚生労働省「職業紹介事業報告書の集計結果」によれば、2015年度における民営職業紹介事業所数(特別の法人および地方公共団体無料職業紹介事業を除く)は、1万9453事業所(うち、有料が1万8457事業所、無料が996事業所)となっている。