リファラル採用

公開日 2017.4.24 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

リファラル採用(りふぁらるさいよう)

 適性・能力がある友人・知人を社内の従業員から紹介してもらい、その人材を選考、採用する手法。人材獲得競争が激しい米国のIT企業等で行われていた採用手法であり、「referral」とは、紹介、推薦を意味する。日本では、もともと人材確保が困難な中小企業の中途採用において、このような手法が使われることもあったが、近年は、大企業の新卒採用でも、この手法が一部に取り入れられるようになってきている。

 リファラル採用には、従来の採用と比較して、次のメリットがある。

(1)求人媒体に募集広告を掲載する必要がない、多数の応募者の書類審査をする手間が省けるなど、募集・採用にかかるコストや時間を削減できる。

(2)その人物のことを熟知した従業員から紹介を受けているので、適性・能力がある人材を採用できる可能性が高い。

(3)入社する者は、会社や仕事のことを従業員から十分に聞いているので、仕事や職場への適応が早く、定着率も高い。

(4)知人・友人が入社したことにより、紹介した従業員が、会社の愛着や仕事に対する責任感を強めることがある。

 その一方、デメリットとしては、次の点が挙げられる。

(1)従業員からの紹介が何件くるか分からないため、採用者数の見込みを立てることが難しく、また、大人数を採用することはできない。

(2)従業員が、会社の求める人材やその人物の適性・能力を十分に把握していないと、入社後にミスマッチが生じることもある。

(3)紹介した従業員が退職するときに、その者の紹介を受けて入社した者が一緒に退職してしまうことがある。

(4)長年続けると、人材が同質化し、会社の成長が鈍化する恐れがある。また、職場の緊張感が希薄になったり、派閥ができたりする恐れがある。

 会社によっては、紹介した従業員に対して報奨金を支給して、リファラル採用を積極的に推進しているところもある。
 なお、リファラル採用は、従業員から紹介を受けたとしても、選考や合否決定は、会社が適性・能力を見極めた上で厳格に行うことが多く、関係者から紹介を受けた者が通常の選考・審査過程を通さずに入社する、いわゆる「縁故採用(コネ採用)」とは異なるものと捉えられている。