公開日 2016.10.18 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
M字型カーブ(えむじがたかーぶ)
日本人女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の比率)を年齢階級別にグラフ化したときに表れる形状で、ライフステージに応じた女性の就業状況の変化を示す言葉として、広く用いられている
日本人女性の年齢階級別の労働力率は、おおむね次のようになっている。
(1)15~19歳の階級は、通学中の者も多いため、労働力率は低い。
(2)20~24歳の階級は、学校を卒業して就職するため、労働力率は高い。
(3)30~34歳の階級は、結婚、出産、育児などの理由により就業しない者が多くなるため、労働力率は低い。
(4)40~44歳、45~49歳の階級は、育児が一段落したことから再び就業する者が多くなるため、労働力率は高い。
(5)55歳を過ぎると、介護や加齢などの理由により就業しない者が多くなるため、再び労働力率は低くなる。
上記の労働力率の変動を折れ線グラフで示すと、30~34歳を真ん中の底としたM字を描くため、この言葉が使われるようになった。
しかし、近年は、「女性の未婚化・晩婚化比率の上昇」や育児・介護休業の法制化や仕事と家庭の両立支援策の実施などにより、育児をしながらでも女性が就業できる環境が整ってきたことなどの要因により、M字型カーブにも変化が表れている。
厚生労働省「平成27年 働く女性の実情」によると、M字型カーブの底となる「30~34歳」の労働力率は、1985年には50.6%であったが、2015年には71.2%と大幅に上昇し、M字型カーブのくぼみが浅くなるとともに、カーブ全体が上方にシフトするという変化が表れている[図表]。
[図表]女性の年齢別労働力率(1985年・2015年比較)
資料出所:総務省統計局「労働力調査」(1985年・2015年)