精神の障害に係る等級判定ガイドライン

公開日 2016.8.23 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

精神の障害に係る等級判定ガイドライン(せいしんのしょうがいにかかるとうきゅうはんていがいどらいん)

 精神障害および知的障害に係る障害年金の認定に地域差による不公平が生じないよう、 障害の程度を診査する医師が等級判定する際に参酌する全国共通の尺度として策定されたガイドライン。
 障害基礎年金や障害厚生年金等の障害等級は「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて認定されるが、精神障害および知的障害の認定については、地域によりその傾向に違いが生じていた。そこで、厚生労働省は、2015年2月に地域差改善に向けた対応を協議する専門家検討会を設置、2016年7月には等級判定の標準的な考え方を示したガイドラインを発表して、同年9月1日から実施することにした。
 このガイドラインには、精神障害および知的障害に係る障害等級の判定時に用いる「障害等級の目安」と「総合評価の際に考慮すべき要素の例」が示されている。

(1)障害等級の目安
診断書の記載項目のうち「日常生活能力の程度」の評価および「日常生活能力の判定」の評価の平均を組み合わせたものが、どの障害等級に相当するかの目安を示したもの。

(2)総合評価の際に考慮すべき要素の例
診断書の記載項目(「日常生活能力の程度」および「日常生活能力の判定」を除く)を五つの分野(現在の病状または状態像、療養状況、生活環境、就労状況、その他)に区分し、分野ごとに総合評価の際に考慮することが妥当と考えられる要素とその具体的な内容例を示したもの。

 障害の程度の認定については、「障害等級の目安」を参考としつつ、「総合評価の際に考慮すべき要素の例」で例示するさまざまな要素を考慮した上で、障害認定診査医員が専門的な判断に基づき、総合的に判定(総合評価)する。
 なお、総合評価では、目安とされた等級の妥当性を確認するとともに、目安だけでは捉えきれない障害ごとの特性に応じた考慮すべき要素を診断書等の記載内容から詳しく診査した上で、最終的な等級判定を行うこととしている。