公開日 2016.6.24 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
職業能力開発基本計画(しょくぎょうのうりょくかいはつきほんけいかく)
職業能力開発促進法5条1項の規定に基づき、職業訓練や職業能力評価など職業能力の開発に関する基本となるべき事項について、厚生労働大臣が労働政策審議会などの意見を聴いて策定し、公表する計画。この計画では、次の事項について定めるものとされている。
① 技能労働力等の労働力の需給の動向に関する事項
② 職業能力の開発の実施目標に関する事項
③ 職業能力の開発について講じようとする施策の基本となるべき事項
2016年4月28日に公表された「第10次職業能力開発基本計画 ~生産性向上に向けた人材育成戦略~」は、ビジネス環境や就業環境が変化する中では、「人々が能力を高め、その能力を存分に発揮できる全員参加の社会と人材の最適配置とを同時に実現し、わが国の経済を、量の拡大と質の向上の双方の観点から成長させていくことが重要」という認識の下、2016年度から2020年度までの5年間にわたる職業能力開発施策の基本方針が示されている。ここで示された、職業能力開発の今後の方向性のポイントは、次のとおり。
(1)生産性向上に向けた人材育成の強化
国、企業、民間教育訓練機関、学校などの教育訓練資源を効果的に活用し、国全体の人材育成の抜本的な強化を図る。
(2)「全員参加の社会の実現加速」に向けた職業能力底上げの推進
女性・若者・中高年齢者・障害者など、すべての人材が、その能力を存分に発揮できる「全員参加の社会」の実現加速に向け、個々の特性やニーズに応じた職業能力開発の機会を提供し、一人ひとりの能力の底上げを図る。
(3)産業界のニーズや地域の創意工夫を活かした人材育成の推進
さまざまな主体が有機的なネットワークでつながり、地域特性や産業ニーズを反映した人材育成を、地域レベルで実施していく。
(4)人材の最適配置を実現するための労働市場インフラの戦略的展開
人材の最適配置を図るとともに、個々の労働者の能力を最大限に活かすため、職業訓練制度や職業能力評価制度を車の両輪とした労働市場インフラの戦略的展開を図る。
上記のほか、技能の振興、国際連携・協力の推進(技能評価システムの移転、職業訓練の実施の支援、技能実習制度の適正かつ円滑な推進)に関する施策を実施するとともに、この計画に基づく施策推進の目標を設定し、その進捗状況を把握することとしている。
なお、都道府県においても、国が定めた基本計画に基づき、都道府県職業能力開発計画の策定に努めるものとされている。